デスクワーク・リモートワークの痛み
デスクワーク、リモートワークの痛み
仕事の大半が事務作業・パソコン操作という方、多いと思います。
長時間机に向かって同じ姿勢で坐っていると運動不足だけではなく、体の各所に不快感が生じ、しだいに痛みに変わってくることもあります。
当院は官公庁や企業のオフィスが多く集まる地域に立地しています。そのため多くのオフィスワーカーが受診されます。オフィスワーカーに共通する症状、それはくびかたのこり、頭痛、腰痛です。
リモートワークが推奨される現在、家庭でのパソコン作業でも同様の症状が出現するでしょう。自宅ではリラックスできる反面、作業環境はオフィスより劣悪かもしれません。注意が必要です。
くびこり・かたこり
うつむいた姿勢を長時間続けることでくびかたのこりが強くなります。くびのこりが強くなると頭全体が締め付けられるように痛んだり、目がショボショボして焦点が合いにくくなったり、こめかみや目の奥が痛むことも稀ではありません(緊張型頭痛・頸原性頭痛)。
くびこり・かたこりを強くしないことが大事です。デスクワークでうつむく角度をなるべく小さくすると首に掛かる負担が軽減します。
まっすぐ前を向いた状態では首に掛かる負担は5kg程度。15度うつむくと12kg、30度では18kgと深くうつむくほど大きな負担が首にかかります。
パソコン作業ではどうしてもうつむかざるを得ないでしょう。とくにノートパソコンの場合は深くうつむきがちです。可能ならデスクトップモニタを使用し、椅子の背もたれを後ろに倒してほぼ正面を見るような形で(クルマのドライビングポジション)パソコン作業が出来ると良いですね。ノートパソコンしか使えない場合は、台(本を積み重ねるとか)の上にパソコンを載せてモニタの位置を上げ、外部キーボード(USBやBluetooth)を繋いで打ち込むようにすれば対処できます。
スマートフォンを使うときも深くうつむいていないかチェックしましょう。
デスクワークが長時間続くときはなるべく間で休みをとり、くび・かたのストレッチや軽い体操をすると良いでしょう。自宅に帰ったらお風呂でゆっくり温まり筋肉の血流を増やしましょう。ただし、熱いお湯に首まで浸かるのは心臓に負担がかかるので避けましょう。
当院では、くびかたのこりに対し、ハイドロリリースという治療を行います。超音波診断装置(エコー)を用いて深層の筋を観察しながら筋膜間・筋内・神経周囲などに薬液を注射する方法です。筋・筋膜などの滑動性を改善し、血流を増やす効果があり、局所に蓄積した発痛物質を洗浄する効果もあると言われています。薬液に少量の局所麻酔薬を加えると注入時痛が軽減されるとともに、筋弛緩作用も得られます。
くびこり・かたこりには単純な筋肉の症状だけでなく、頚椎から出る神経の症状や頚椎の骨格そのものの痛みが隠れていることもあり、神経所見・身体所見をチェックした上で治療方針を決めることになります。すべてがハイドロリリースで治療できるということはなく、他の神経ブロック法や薬物療法が必要になる場合もあります。
デスクワーカーに多い腰痛
長時間椅子に座っていると腰の深部に重苦しい痛みを感じるようになる。ジッと坐っているのが苦しくなり、立ち上がってすこし動いた方がむしろ楽になる。
多くのオフィスワーカーがこのような腰痛を訴え受診されます。
これは腰椎椎間板そのものが痛みの発生源になる椎間板症という状態です。腰痛の原因としては特殊なものではありません。年齢に伴う腰椎の変化がベースにあり、何らかのきっかけで椎間板に侵入する痛みの神経が刺激されて発症します。
多くの場合手術適応はなく薬物療法やコルセット装用といった治療が一般的です。
当院では椎間板症に対し、積極的に神経ブロック療法を行うことで痛みを軽減し、治癒までの期間を短縮することを目指しています。