かたこり・くびこり
かたこり・くびこりの治療
当院の患者さんの症状で、腰痛に次に多いのがかたこりです。
かたこり・くびこりの症状のなかには頚椎の椎間板・椎間関節に発生源を持つ痛みもあります。また、上肢(腕・手)の痛みやしびれを伴う場合には頚椎の神経(神経根・脊髄)や腕神経叢(頚椎の神経が上肢に至るまでの部分)が障害されている場合もあります。
ここではシンプルに筋肉のこりに関するお話をします。
くび・かたの筋肉は複雑に何層にも重なり合っています(イラスト)。
これらの筋肉が、頭部・頚部・肩甲骨を支え、動かす原動力となっています。
日常生活や仕事で特定の姿勢を長時間維持したり、無理な作業を反復することにより一部の筋肉に負担がかかると「こり」と痛みを生じます。
年齢による頚椎の変性は頚部・かた・背部(肩甲間部)に痛みを生じます。痛みを感じると反射的に筋肉の緊張は高まります。痛みを生じないように頚椎を固定しようと筋緊張が亢進します。
また、精神的なストレスは筋緊張を亢進させ、肩こりの増強因子になります。
まず、肩こりの原因になるような生活習慣や不良姿勢を改めることが重要です。
ストレッチや全身的な軽度の運動も効果的でしょう。
ストレスの原因(ストレッサー)が特定できればなるべくそれを減らすこと(難しいですが)も考えましょう。
マインドフルネスやヨガのようなストレス低減法も興味のある方には良いでしょう。
ペインクリニックでは原因に応じていくつかの治療を行いますが、基本になるのは「こり」のある部位そのものに薬液を注射する方法:(広義の)トリガーポイント注射です。
当院では、超音波検査装置(エコー)を導入し、くび・かたの筋・筋膜を観察しながら筋肉内・筋膜間に薬液を注入する治療法(エコーガイド下ハイドロリリース・筋膜リリース)を行っています。
この方法では従来の方法に比べ針を刺す箇所が少なくてすみ、薬液注入時の痛みもほとんど感じない方が多いようです。
当院では通常のトリガーポイント注射に用いられる局所麻酔薬・消炎成分配合薬(ネオビタカイン注)を生理食塩液で希釈して用いています。これにより、物理的な筋膜剥離・洗浄効果に加え薬理学的な筋弛緩も得られます。
(動画1)、(動画2)、(動画3)、(動画4)は治療中のエコー画像です。肩こり・くびこりに関連した主要な筋肉である肩甲挙筋(1, 2)、頭板状筋(3)の筋腹内および僧帽筋との筋膜間また肩甲間部のこりに関連した菱形筋(4)の上下の筋膜間に薬液が広がっていく様子が描写されています。
動画5はハイドロリリース治療風景です。
エコーガイド下ハイドロリリースは肩こり治療の有力なオプションになると期待されています。
動画1
動画2
動画3
動画4
動画5