頭痛
頭痛総論
日本の疫学調査(1997年)では対象となった約四千人のうちおよそ3割が慢性的な頭痛もちでした。
頭痛のなかにはくも膜下出血や脳腫瘍による頭痛など他の疾患により引き起こされた「二次性頭痛」もあります。突然起こった今までに経験したことのない頭痛や時間経過とともに徐々に増強したり、新たな症状が加わってくる場合は脳神経外科や神経内科を受診して診察・検査を受ける必要があります。
これに対して長期にわたり同じ頭痛を繰り返す場合の多くは「一次性頭痛」です。
一次性頭痛は他の疾患がなく頭痛そのものが疾患という状態です。
一次性頭痛の代表疾患は「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」です。
旧来、
と考えられてきました(Ad Hoc Committee の頭痛分類:1962)。
典型例ではこの区分がしっくりくるのですが、どちらとも言えない中間的な頭痛や、同じ患者さんでも両方の要素があり、ときによりいずれかの特徴が優位になるということもあります。
このことから、片頭痛と緊張型頭痛はおなじもので程度が異なるだけ(機能性頭痛一元論)という考え方もあります。
頻度が多いのは片頭痛と緊張型頭痛。前述の疫学調査では片頭痛の有病率は8.4%、緊張型頭痛は22.4%でした。男女別に見ると片頭痛は女性が12.9%、男性は3.6%。緊張型頭痛も女性26.4%、男性18.1%と女性に多い傾向があります。
群発頭痛の有病率は、10万人あたり50人程度と言われています。数年に1回〜1年に数回の頻度で「群発期」が訪れ、この期間は毎日のように激しい頭痛発作が起こります。「群発期」が過ぎれば頭痛はまったく起こりません。まれな疾患なので「三叉神経痛」と誤って診断されることも多い頭痛ですが、正しく診断されれば対処可能です。
片頭痛と緊張型頭痛の症状はそれぞれ特徴があり典型例では区別が容易です。しかし、上述のように両者の中間的な頭痛をお持ちの方や、両方を併せ持つ方も多く、診断が難しい場合があります。
何度か受診機会を重ねてお話を聞くうちに、しだいに複数の頭痛が混在していることが分かるケースも少なくありません。
片頭痛と緊張型頭痛の治療は異なるので患者さんがご自身の頭痛を理解して対処することが必要です。
そのために、日本頭痛学会が推奨しているのが「頭痛ダイアリー」です。頭痛の記録をとることが正確な診断や効果的な治療につながります。「頭痛ダイアリー」はこちらからダウンロードできます。