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緊張型​頭痛・頸原性頭痛

緊張型頭痛は片頭痛よりも一般的な頭痛で日本の統計では22.4%の有病率でした。

生涯で緊張型頭痛を経験する人は3割〜7割と言われています。

 

頭痛の程度は軽度〜中等度ですが、長くダラダラ続くことが多いため日常生活に大きく影響する疾患です。

 

緊張型頭痛では両側の後頭部からこめかみ・額にかけて締め付けられるような痛みがあり、目の奥の痛みを伴うこともあります。

 

こうした症状はくびやかたのこりに関連して起こることが多く、その背景として頚椎の変性(年齢による変化)や神経根障害が関与している場合もあります。

 

仕事や家事でうつむいた姿勢を長時間続けると増悪します。うつむく角度が大きくなるほど後頚部の筋に負担がかかりこりが強くなります。

 

国際頭痛分類(第3版)では緊張型頭痛にオーバーラップする概念として「頸原性頭痛」の項目が設けられており、さらに「頸部筋筋膜痛による頭痛」という項目も暫定的に補足されています。緊張型頭痛が頚部の痛みと密接に関連していることが示唆されています。

 

私の経験からは、多くの患者さんで緊張型頭痛・頸原性頭痛・頚肩腕症候群(くびかたのこりを主症状として多彩な不定愁訴を伴う病態)はひとつながりの疾患として捉えるべきだと思います(図)。

 

くびかたのこりや痛みの治療をするだけで頭痛が軽減・消失する場合がいかに多いことか。

 

頸部の「こり」や痛みの信号は上位頚椎の神経根を介して大脳に伝えられます。その信号は脳幹部の「三叉神経尾側核」という部分を通過します。この部分は顔面の痛みを伝える「三叉神経」の通り道でもあることから、頸部からの異常信号が強い場合には三叉神経にも影響が及びます。三叉神経の支配領域(顔面)に異常がなくても大脳で感覚を認識する段階で、誤って顔面の痛みを感じてしまうという現象が起こります。これが「頸原性頭痛」や「頸部筋筋膜痛による頭痛」のメカニズムだと考えられます。

 

目の奥が痛いので眼科を受診したが目そのものに異常はなく、当院を紹介され来院される方もしばしばです。よくお話を聞くとほとんどの方はくびかたのこりが普段よりも増強しています。肩こりの自覚症状がない方も頚部〜かたの筋肉を押さえると痛みや張りを感じます。

 

このような場合、くびかたのこりを和らげる治療をします。くびかたのこりが軽減すると、目の奥の痛みも軽減・消失します。目そのものには何の治療もしないのに目の奥の痛みが消失するという経過を考えると、この痛みはくびかたに原因があるということが分かります。

頸原性頭痛の図.png

表 緊張型頭痛の診断基準

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